本日解禁

    ヒソミネを始めた話② コンセプト編

    さてさて、前回はヒソミネ立ち上げのきっかけを書きましたが、今回はもう少し具体的な開店までの話をしていきます。
    物件を探す前にまず、協力者、仲間が必要だと思いました。
    さすがに今回はレーベルとは違い、一人で動いて完結できる規模ではないと考えたからです。
    まずは信頼できると思った仲間達を招待してFacebookの秘密のグループを作りました。
    グループ名は確か「新ライブハウスプロジェクト」みたいなかんじだったかなと。
    経緯を説明して一緒にやりませんか?と信頼できる何人かに送り、快く参加してくれた方、仕事が忙し過ぎるから金銭面だけ協力していただけるという方、いろいろいましたが結局10名くらいは集まったと記憶しています。

    その内のメインで動けそうな2名くらいと共に物件を隈なく調べ、とにかくまずは内見に何度も行きました。
    物件取得にかけられる費用は約200万円。
    正直この数字ってライブハウスじゃ常識外れな金額だと思います笑
    でもいけると思ったんですよね。

    実現のためにはまず居抜き物件が必須条件でした。
    一応説明しておくと物件にはスケルトンと居抜きがあります。
    スケルトンは文字通りコンクリート剥き出しの状態です。
    トイレもエアコンも床も電気も何もありません。
    中にはトイレだけあるとか、床だけは貼ってあるというような半スケルトンみたいな物件もあります。
    居抜きは壁もトイレもその前に入居していた店舗のものがそのまま残っている状態で、ライブハウスの居抜きなら防音工事だって既に施されています。
    およそ30坪のライブハウス居抜き物件に内装工事費が200万円かかるとすると、(もちろん工事内容に依りますが)スケルトンなら1000〜2000万円くらいかかるかもしれません。

    「ライブハウス、居抜き」「防音、居抜き」などのワードでググって、ヒットした物件を毎日毎日チェックして、良さそうなところに内見に行くということの繰り返しです。
    最初は都内でいろいろ探しましたが、その条件ではカラオケの一室みたいな狭いところしか見つかりませんでした。
    これではライブハウスを始めたと告知しても「しょぼっ!」とむしろ鼻で笑われるだけだなと。。
    さすがにちょっと予算が無謀すぎたかな・・・と考え込んでいたところに、仲間の一人が「埼玉がいいんじゃない?キルクの事務所も和光なんだし」と。
    そこで初めて確かに埼玉もアリかもと考え始めました。
    実はちょうどその少し前に「埼玉フェスティバル」というイベントに出演しまして、そこで自分は「埼玉のバンド」だという意識を持ち始めたことも大きな理由の一つです。
    早速埼玉の物件で調べてみると、これなら予算的にいけるかもという希望が湧いてきました。
    それからも毎日ひたすら物件をチェックしました。
    そんな中で見つけたさいたま市の宮原にある約30坪の物件。
    元はジャズのライブを行っていたレストラン、それが潰れてからヒップホップイベントを行うクラブ兼ステーキ屋?謎の経歴を持つ物件でした。
    内見に行って、一目惚れでした。
    予算も広さもバッチリで防音も施されててトイレも綺麗で倉庫もバーカウンターも広いキッチンもある。
    思い浮かべていた規模にピッタリと合致する完璧な物件です。

    物件ってほとんどのところは仮押さえができても数日〜一週間とかで、ほぼ即決で契約しないとなりません。
    迷ってる間に他の人に取られるのが嫌だったので一晩考えてすぐ決めちゃいました。
    実際に物件探しのためにググってみればよく分かると思いますが、ライブハウスの居抜き、音出しOKの居抜きなんてほとんど出ません。
    この出会いは運命なんじゃないかと思いました。

    物件を選定しながら同時進行でじっくり話し合っていたのが、コンセプトを固めることです。
    この規模で存在意義のあるハコを作り上げるためには、そこが最も重要であるということは明白な事実でした。
    小さい規模ということを逆手に取って、今までのライブハウスでは冒険しづらかったことは何か、毎日毎日そればかりを考えていました。

    それまでに存在していたライブハウスはもちろん好きですが、好きではないけどそういうものなのかなと諦めていた要素ってありませんか?
    「音を鳴らせてお客さんを収容できる」という外せないこと以外、むしろ既存のライブハウスとはできる限り逆でいこうというところから考えをスタートさせました。
    2013年の立ち上げ同時、「諦めていた要素」を具体的に挙げると以下のようなことです。

    1.タバコ臭い

    自分は嫌でした。
    禁煙したてだったのもあって余計に…笑
    でも音楽やっている人はタバコ吸っている人がまだ多いとは思ったので、分煙ということを選びました。

    2.黒い壁の汚くてデンジャラスな雰囲気
    ロックっぽくてかっこいいとも言えますが、ロックの中だけでもオルタナ、プログレ、サイケ、ポストロック、ハードコア、ニューウェーブ、いろいろな色があるんだから、ライブハウスの内装だっていろんな色があってもいいのかなと思い、ヒソミネは白を基調とした空間にすることにしました。

    3.ノルマ制度
    ミュージシャンなら思います。ノルマ高すぎ。
    そもそもノルマって無しでも成り立つものかな・・・とまずは事業計画書を書いてみました。
    結果いけるなと。
    ただこれに関しては運営しながら疑問に思うことがあったので、少しずつ修正していったところもあります。
    現在は機材費だけいただいています。
    その話は長くなるのでまた別の機会に。
    こういう話って論争になりますしね…笑

    4.ホールレンタル代高すぎ
    これは商売として考えると本当は高くないとは思うのですが、少なくともミュージシャンの自分としてはそう思っていたので、どうにかできないかなと思っていました。

    5.キャパ大きいハコ多過ぎ
    小さいキャパのハコを作るということはこの敷地面積なら自動的に達成です笑
    このキャパは絶対武器にできると確信していました。
    月1以上ライブをする駆け出し中のバンドにとって、キャパ200人のハコを毎回埋めるのなんてかなりキツいですもんね。
    でもそういうバンドこそ場数を踏むべきだし、人気は無くたって自信があるなら発信していくことは大事だと思います。
    その一方でバンドマン側もどのハコでも良いというわけではなく、「あのハコでライブをする」と胸を貼って言えるようなカッコいいハコでやりたいという心理があったりもします。
    そんなわけで100人以下の規模でありながらダサくないハコを作りたいと思ったわけです。

    実際に人気がないバンドだけが出演する平日のハコ主催のイベントなんてガラガラですし、結局それによってハコの存続のためにも出演バンドはお客さんが入らなかった分の高いノルマを無駄に払わなければならないという悪循環が出来上がっているんじゃないかと考えました。

    6.音の逃げ場なさすぎ
    せっかくライブハウスでいろいろな人と出会うのに、ゆっくり会話するにはどの場所にいてもうるさいというハコが嫌でした。まあそういうハコの時は外に出て話しますが、苦情に繋がりますし、ライブハウス以外のご飯屋で話したりすることになるので、飲食代をしっかり得たいこのライブハウスではくつろげる環境というのは必須でした。

    この中で内装の設計をそうすればいいだけの1、2、5、6はそんなに難しいことではありませんが、3ノルマ無し、4ホールレンタル代を安くすることは決して簡単ではありませんでした。
    実現するには開店してからの毎月の支出を大幅に抑える必要があります。
    削れる部分はどこか。
    考えた結果がこちらです。

    常勤スタッフの削減
    電気代の削減

    それを解決できそうなアイディアがプロジェクター照明です。
    もはやヒソミネの顔ともなっていますが、これが画期的なのって実は綺麗ということだけではありません。
    まず大きな理由としては、DVDでほとんどの音楽に合いそうな映像を自動で流しておくので照明スタッフが必要ないということです。
    さらに電気代を安く抑えることができます。
    照明はけっこう電気代がかかるんですよねー・・・。
    もちろん照明を否定しているわけではなく、ライブにおいて大事な役割だと今も思っていますが、ヒソミネでは無しでもいけると判断しました。

    あとは受付専用カウンターを設けないことです。
    ドリンク/フードカウンタースタッフが受付も兼ねることで受付スタッフの人件費を1名分削減しようと考えました。
    その2名の人件費分をアーティストに還元(=ノルマ無し、ホールレンタル代を安くすること)しようと考えたわけです。

    経営においてよくぶち当たる壁ですが、全てを取るのはやはり難しいです。
    どういうことが人に喜ばれるのを想像することは決して難しいことではありません。
    料金が安くて、音も良くて、環境も良くて。プロジェクターとは別に照明も完璧に揃っている方が喜ばれることくらい誰でも分かります。
    ただ「アーティストに還元」ということを選びながらそれらも取るというのは困難なことです。
    どれを得て、どれを削るかというのは経営の上でとても重要なことだと今も考えています。

    さらに計算してみると、支出を抑えるだけでなく売上アップも必要でした。
    それを可能にするために真っ先に浮かんだのはフードとドリンクに力を入れることです。
    しっかりした美味しい料理とお酒を、使い捨てではないお皿とグラスで出す。
    そしてそれをゆっくり座って食べられる環境が必要だと考えました。
    先ほど挙げた6の「音の逃げ場」を作るというのは、このことと一石二鳥になるのでちょうど良かったわけです。

    そんなわけでヒソミネはこれまでのライブハウス少し違った形で運営していくことに決めました。
    音楽家と音楽好きな人々のための唯一無二な空間。
    コンセプトとしてはバッチリだと思いました。

    今日はここまでで。

    次回はヒソミネを始めた話③、開店までの具体的な準備のことを買いていこうかと思います。

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