ヒソミネを始めた話① きっかけ編

こんにちは森大地です。
音楽レーベルとして開始してから2年ほど経過した2012年頃、CDの売上枚数の平均がだんだん落ちていっているのを肌で感じていました。
この頃は周りのレーベル運営者、音楽家、いろんな人が音楽産業の将来についていろいろ考えていたような気がします。
kilkもこのペースのままでいったら会社として2年、いや1年半くらいしかもたないんじゃないかと。
それを分かっていながら何も手を打たないのはバカ以外の何者でもないと思いました。
ではどう打破するのか。
いくつか案を考えていました。

1.売れる音楽をリリースしていく
ふと浮かんだ時もありましたが、すぐ却下しました。
少なくとも株式会社キルクとしては、自分が素晴らしいと思っている様々な種類の音楽を、少しでもみんなに知ってほしいという想いが根底にあったからです。
売れるためにリリースすることは本末転倒なのであり得ません。
もしそれで売れて金持ちになったとしても、自分は決して幸せだとは思えないからです。

2.音楽事務所として生き残る
kilkはアーティストのサポートはするけど音楽事務所としては機能させていませんでした。
あくまでレコード会社。
世の中的にCD売上は落ちてもライブ産業は人気だったので、そこに力を入れていくのはどうかとか考えました。
ただ自分はアーティスト活動も大事にしたかったので、アーティストと事務所の両立はちょっと難しいなと思ったのです。両立している人もいるかもしれませんが、自分がこれまで見てきた経験からすると、少なくとも自分にはそれができないし、そもそも音楽事務所の仕事は自分に向いてないと思いました。
なので却下。

3.音楽制作の仕事を増やしていく
これは自分が思うようにその仕事を取ってこれなかったというのもありますが、何個かやってみて、これは自分がやりたい音楽仕事とは違うなと思ったので積極的に仕事を取りにいくのはやめました。
とはいえ今でもたまにはそういう仕事も受けてはいます。
自分が良いと思える音楽を制作させてもらえるなら全然いいんです。
ゴールとするところが自分にとってダサいと感じる音楽という時が自分にはとてもストレスで、音楽を作る側の自分は聖域に残しておきたかったという思いが強かったので、制作をメインの仕事にするのはやめました。
ただ、周りの音楽制作を仕事にしている人は本当に尊敬しています。
皮肉ではありません。自分にはそれができなかったので。
実際に自分がカッコいいと思う音楽とゴールをうまく一致させている人もいます。
人が喜ぶ音楽と自分の音楽をバランスよく器用にこなせる凄い方達だと思っています。

4.音楽教室を開業
インディーミュージシャン達を集めた音楽教室をやろうかと考えました。
ただこの時はミュージシャンである自分の活動やkilk recordsの運営にプラスになるとはあまり感じられなかったので選択しませんでした。
もちろん音楽文化への貢献としては微力ながらプラスにはなると思いましたが、どうもその時思い浮かべてた自分の戦略やストーリーからは少しズレた展開になるかなと考えたわけです。

5.ライブハウスを開業
業態としては最も興味を持っていました。
この頃は音楽業界のしがらみや媚を売ることに心底うんざりしていたところがあって、例え業界全体にそっぽを向かれても、独自の強い地盤を築いて生き残っていける道はないかと模索していまして、ライブハウスはそれにピッタリだと考えたわけです。
ミュージシャンとしての自分もしっかり保てるし、レーベルもやりたいことをやり続けることができるし、そのハコがあることで面白いシーンを作り上げることだって可能なんじゃないかと。
ただやっぱり資金がかかりすぎるから、さすがに無理だと考えていました。

転機となったのは確か新生堂がインストアイベントを行える新しい店舗を作るという記事を見かけ、それについてツイートしたことでした。
「こういうスペース良いよね。みんなでお金出し合ってやればいけるかな。」とかそんな内容だったと記憶しています。
そこに何人か音楽仲間からリプライがきました。
「いいねー。そしたら自分も出すよ」「やっちゃおうよ!協力するよ」
そこで初めて考えました。
いつものように妄想タイムが始まったわけです。
仮に一人20万円払ってくる人が10人いたら200万円。
ライブハウスに必要なのっていくらくらいだろう。
物件取得費、機材購入、内装工事、オープン前の人件費。
試算したところ300万円くらいでどうにかいけなくはないんじゃないかという結論に達しました。
しかしながら何と言っても自分にとっては初の店舗作りだったので、机上の空論に過ぎないんじゃないかという疑念ももちろん浮かんではいました。
まずは動いてみなければ、ということで物件を調べて内見に行くということから始めることにしました。

とりあえずここまでで。
次回はヒソミネを始めた話②、オープン前までに行ったことをさらに具体的に書いていきます。

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