bekkanから学ぶ「知らないことを良しとするな」「ビジョンを持て」

こんにちは森大地です。
自分はbekkanというカフェダイニングをさいたま市北区の宮原で運営しています。
ここはヒソミネから徒歩5分、ヒソミネよりも宮原駅寄りの方にあります。
ヒソミネを始めてから2年半も経過した頃、だんだん感じるようになってきたことがありました。
「音楽好きじゃない人来なくね?」

たまにロック酒場とかありますが、音楽を仕事にしている自分からしても入りづらいんですよね。
音楽やってない人から見たら、ライブハウスってもっと入りにくいんでしょうね。
ヒソミネで音楽好きじゃない人が入りやすいような努力はいろいろ試してみまして、例えばバーコーナーまでは無料にしたり、昼はちょこっとカレー屋として営業して夜のライブハウスを紹介したり・・・
それでも正直あまり満足な結果は得られませんでした。

そこで音楽とは一見何の関係もないカフェダイニングを始めることで、まず音楽をやっていない人をメインターゲットにすることから始めようと考えるようになりました。
音楽レーベルからライブハウスを手がけただけの当時の自分にとって、そうすべきだと考えた2つの理由がありまして、
1. 音楽ファンではない方に音楽の良さを伝える機会がほしい。
2. 音楽ファンではない方がどういうものを欲しているかをリサーチしたい。

ざっくり言うとこの二つです。

1を実現するには
・カフェライブイベントを定期的に開催する。(カフェに来ているお客さんを対象にした無料イベント)
・店内音楽でkilkオススメの音楽をかける。
・常連となるお客さんに音楽の良さを伝える。(行きつけの美容室くらい仲良くなった上で、ステルス的に笑)

この辺が必須だと考えました。
2については、これまで音楽レーベルとライブハウスしかやってこなかった自分は、まず「音楽好きではない人」のことを知る必要があると思ったわけです。
一言で勉強不足な自分に嫌気が差したってとこでしょうか。

これはちょっと話がわき道に逸れますが、大事なことなのでここで伝えておこうと思います。
それは
己の道に必要なのに知らないという状況を良しとするな。そして知り、後はとことんやれ。
です。

似たような株の名言で「遠くて知らないものには手を出すな」というものがあります。
知らない銘柄より身近で馴染みのある銘柄に投資しろということです。
音楽でも経営でも「知っていること」はかなり重要だと思います。
何を知るか ー 時代に対しての感覚、文化、手法、知識、いろいろです。
音楽をやっている人なら、高校生の時の自分はアレンジについてよく分かってなかったな、とか振り返ることとかありませんか?
同じように5年後のあなたが、同じように今のあなたをよく分かってなかったなと思うことだって十分あり得ますよね。
もちろん高校生だって大学生だって初期衝動で恐れ知らずだからこそ良い音楽というものだってあります。
でもそれは高校生、大学生でありながら、その時の自分たちにできる明確な「カッコいいビジョン」が見えてるはずです。
そう、自分はビジョンは非常に大事なことだと思っています。
ビジョンなき音楽、ビジョンなき経営、ビジョンなきアイディア。
これは最悪です。
ビジョンと信念。
これが音楽(マネージメントも)をする上で超重要なことだと思ってます。
よくアイディアはいっぱい出るって人はいると思いますが、そのアイディアってビジョンじゃなくメモのようなアイディアじゃない?って思う人がいます。
それ、一番何も生まないパターンですよ。
奇抜風凡人とでも言いましょうか。
アイディアメモマンって誰だってできますよ?

・・・って偉そうにすみません笑
でもとても大事なことだと思うので、敢えて強い言葉で言わせていただきました。
アイディアってもちろん重要ですがツールですよね。
そのツールを使って、「これは凄い」と自分で思えるような完成図を最初から思い浮かべられることがビジョンです。
ホリエモンなんかはビジョンより今を生きろと言いますが、もしかしたら彼とは違う意味でのビジョンかもしれません。
多分彼は将来より今やるべきことをやれという意味かと。
自分の言ってるのはその「今やっていること」について、何が「かっこいいか」「イケてるか」「おもしろいか」「画期的か」のイメージが明確に見えているかということです。
それがモヤモヤとした雰囲気でしか分かっていない(もしくは分かってると過信、錯覚)ビジョンは「ファッションパンク」みたいなもんだと思っています。

この話って自己反省でもあるんです。
Aureole、kilk、ヒソミネ、これまでの活動は全て明確なビジョンが見えてました。
もちろん好みもあるので、それらの活動が気に入らない人もいるかもしれませんが、自分はビジョンを持っていたと胸を張って言えます。
でもbekkanを始めた当初、見えていたのは「こんなお店にしたい」というコンセプトだけでした。
では何が見えてなかったの?
それは内装であり、料理であり、ランチのやり方、ディナーのやり方、オペレーション。
つまり自分がこれまで携わってこなかった飲食店としての専門的な部分です。

自分はbekkanを始めてからそれらを知りました。
というと矛盾してるように聞こえるかもしれません。
じゃあ知らない状態のままでもやって良かったんじゃない?って。
いやいや、自分は知らないことがあると思った時点で、知るために必死に勉強しました。
飲食店の経営の基本、どういう雰囲気のお店が心地良くリピートしたいと思うのか、インパクトがあると思うのか、料理が素晴らしいと思うのか、これからの飲食店の流れはどういう方向に向かっていくのか。

それと並行して、もう一つ知らなかった「音楽好き以外の人」についてのリサーチも果たすことができました。

そんなわけで結果的に今はうまくいったと思っていますが、最初はこういう場所を作るというコンセプト以外は何も飲食店のことを知っていない男=森大地で、それはそれは苦労しました。
その時は知らないと思った分野に対してはとことん謙虚に挑みつつ「くそー」とか思いながら勉強しました笑

学んだのは主に本、それからdownyの青木ロビンさんからですね。
ロビンさんはbekkanの内装を手がけていただきました。
そこでいろいろなことを学びました。いかに自分が知らないことだらけだったかと思い知らされましたね。
ロビンさんの話す内装イメージなど、話を聞いていても正直その時は具体的にイメージできませんでした。
ただ闇雲に壁をDIYで塗って(たまに友達に手伝ってもらう以外、暖房もない工事現場で基本たった1人で何回徹夜したのか、、体力消えかかって孤独で、あの日々は泣きそうに辛かった)、工事の重要な判断をいろいろ迫られ、よく分からずあたふたして、、、そして人生初の借入、約1000万円!!!!!!!!!!!
正直もう頭おかしくなりそうになりました!笑
多分今の自分がロビンさんと同じ会話をしていたら、もっとスムーズに伝えられたかと思います。(ロビンさんその節はすみませんでした)
その時の自分はお店が完成してからようやくそれまでの全てが繋がりました。
「あー、ロビンさんはこのビジョンを最初から持っていたのか。」
具現化して初めて分かるんですよね。分かってないその時はほんとそんな感覚でした。
その結果、今は内装や家具だって何がかっこいいか、ダサいかを明確に分かるようになったと思います。
それが正解かどうかは結局好みなので何とも言えませんが、重要なのは少なくとも自分の中の正解がくっきり見えているということです。

ちなみに自分は今も料理はできません。
でも料理のアイディアなどはとことん口を出させていただいてます。(有能なスタッフありがとう!)
料理は自分が片手間で極められるものでもないと思ったので、手を出さない方が良いと判断しました。
(とはいえ料理ができるオーナーに越したことはないとは思います。)
それでも料理のビジョンは明確に持って、スタッフにも伝えているつもりです。
むしろ料理人ではなく、エンタメ産業の視点をもった自分だからできることというのも多くあるかなと思っています。

何が「イケてるか」、自分でくっきりと判別できることは非常に大事です。
ビジョンが見えてる人にはそれが絶対できるので。
何度も言いますが、音楽でも会社経営でもそうです。
「何が他と比べて優れているのか」「どういう理由で自分のやっていることはとんでもなく凄いのか」

ということでここまで脱線しまくりました。
いや、脱線の話がむしろメインですね。

でも話を戻すと、bekkanを作るにあたって、ヒソミネの近くの物件ということも大事な要素でした。
具体的な利点としては、
・ヒソミネの出演者がリハの合間に寄れる。
・ヒソミネに来たお客さんが開演前、終演後に寄れる。
・ヒソミネに出たバンドの打ち上げができる。
・2店舗でスタッフ間のシフトの交換ができる。(急な休みのヘルプなど)
・2店舗で在庫の貸し借りができる。(急な欠品など)
・2店舗でサーキットイベントができる。
どの項目も今までその狙い通りになってきたと思います。

そんなbekkanですが、実はオープンしてから「もうやめようかな」と思ったことは何度もあります。
飲食店っていろんな人が言っているようにいろいろ難しいんですよね。
やっぱりライブハウスと比べて困るのは「今日の客入りが読めない」「料理できる人が全員やめたら終わり」ってとこでしょうか。
その辺の問題でこれまで何度も挫けそうになりましたが、bekkanの素晴らしいスタッフのおかげで、コロナ禍の2020年5月の今もなんとか続けることができています。(みんなのおかげです!ありがとう!)

これまで大変だったことの一つを挙げるなら、売上に対して人件費をかけすぎて赤字が続いてしまった時でしょうか。
あの時は月々の支払いも苦しくて、月末の支払日までどうやってお金を用意しようかと考えていました。
ここで一応飲食店の基本である、最適な固定費と変動費についての内訳を挙げておきます。

変動費
食材の原価 30%
人件費 27〜30%
※原価と人件費で60%以内に設定する。
水道光熱費 5%
その他 消耗品、修繕費、修繕費、広告宣伝費など 8%前後

固定費
家賃 10%
その他支払利息、リース料など 10%

Total 90%、利益10%

どんな本でもだいたい同じこと言われてるので珍しい情報ではありません。

まあ正直bekkanは家賃の時点でちょっと無茶ではありました。
けど今は努力の甲斐あってなんとかやってこれています。(コロナ禍までは・・・)

やっぱり難しいのは人件費ですよね。
bekkanでは当時の店長からは人件費をもっと増やせと言われ、自分はもっと下げるように言ってましたがなかなか折り合いがつきませんでした。やっぱり雇われている側は同じ給料なら人数多い方が楽ですし、放っておいたらどんどんそれを要求されるものです。(今の店長は全くそんなことないですが)

オープンしてから4年経って、最初と比べて、ひと月で40万円〜50万円くらいの人件費が落ちました。
以前はどんだけ人員過多だったんだと自分でも驚きます。
人件費は飲食店がうまくいかなくなった時に、必ずぶち当たる問題かと思います。
ただ一度雇うと解雇も簡単にはできませんし、人件費を減らすには多くの壁を乗り越えなければなりません。
飲食店を始める前に、「予想より繁盛して人員が欲しくなる時」「思ったより少ない人員で回せるから減らしたい時」両方の状況を起こり得ることとしてシミュレーションしておき、臨機応援に対応できる態勢を整えておきましょう。

bekkanは苦労が一番多かったですが、やって本当に良かったです。
いろいろなことを学びました。
今では常連客もいっぱいいて、最初から目指していた「サードプレイス」のように思ってくれているお客さんもいます。

bekkanの話はとりあえずここまで。
ここで話しきれないくらい、いろいろなことがありましたが、それはまた別の機会にでも。

※2020年9月10日追記
コロナ禍でライブハウス業界や音楽業界の先行きなど見えてこないものは確かにいっぱいあります。
それでも今はこれをやるべきというビジョンはあります。
正解かどうかは別としても、これが正解だと自分で信じることができるものだけを追求することが大事かなと思います。

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